小島研究室


■研究室名:
小島・生物化学研究室

■研究のキーワード:
糖鎖、免疫応答、感染症、がん、病態制御

■研究内容(概要):
1. 免疫細胞の糖鎖認識からはじまる細胞応答の解析
2. 細胞応答を利用した疾患の病態制御法の開発
3. 糖鎖に基づいたがん細胞の接着・転移機構の解析

■研究内容(詳細):
生体防御の司令塔である抗原提示細胞には多くの糖鎖認識分子が発現していて、微生物の表層にある糖鎖を認識して取り込んで、敵の存在を知らせます。この細 胞応答を巧みに利用することでがんや多様な感染症に対して効果的な宿主免疫応答を誘導することができると考えられます。 もし人為的に宿主免疫応答を制御することが可能であれば、いま問題になっている新興感染症(例えば新型インフルエンザなど)や再興感染症(マラリアなど) の予防や被害の拡大阻止に大きく貢献することになるでしょうし、がんやアレルギーにも有効であると予想され、国民生活を豊かにするだけでなく、国際的な波 及効果が非常に大きいと考えられます。 そこで私たちは、病態制御に有効な細胞性免疫応答と液性免疫応答を誘導できるようなワクチンシステムを糖鎖工学、糖鎖生物学の技術を活用して構築しようと 試みています(図を参照)。現在までに、ある種の感染症やがん・アレルギーの予防や治療ができるということが動物(マウス)を使った実験で明らかになりま した。 また、病変部位に集積する細胞の特性を使って、細胞に薬剤や生理活性物質を取り込ませてから、運搬するような細胞運搬法の構築も行っています。これまで に、胃がんの腹腔内転移の制御に有効であるということが分かってきました。 このような細胞の特性を有効に利用することで、これまで困難であった疾患の病態制御が可能になることを期待しています。そのために、免疫細胞の細胞応答を 細胞生物学的あるいは生化学的な手法を用いて検討しています。また、新しい技術の開発にも取り組んでいます。 このような研究は一つの研究室だけでできることではないので、同じ学科の他の研究室や他学科の研究室、さらには、いろいろな外部の研究機関と共同して行っ ています。所属学生は必要に応じて、短期間、これらの研究機関で研究を行っています。このような外部研究機関との間で研修をすること、あるいは外部研究機関と合同で研究会を行うことによって、大学の研究室だけでは得られない貴重な経験を得ることができます。

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生体内糖鎖認識を基盤とした免疫誘導と高機能ドラッグデリバリーシステム(DDS)による病態制御の概念

 

 

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■共同研究施設:
愛知県がんセンター、帯広畜産大学・原虫病研究センター、産業技術総合研究機構、野口研究所、東京大学・医科学研究所、東京都老人研究所、理化学研究所 免疫・アレルギー研究科学総合センター


●名前
小島 直也(こじま なおや)/理学博士
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●専門分野
生物化学、糖鎖工学、糖鎖生物学、細胞生物学

●所属学会
日本生化学会、日本糖質学会、日本がん学会、日本DDS学会
●担当授業
生化学4、分析化学実験

●授業内容
・生化学4
細胞生物学を取り上げる。
・分析化学実験
化学の基礎となる定量実験を中心に生物物理学的な実験も行う 。